車電池(カーバッテリー)の充電器を考察する

20.03.01
健康のためにと、外出するときに車を使わないようにしていると、車のバッテリーが自然に放電して、エンジンが起動しなくなる。身体にはよいが、車には悪く、どうすべきか悩みが増えます。
何度か車から外して、電子工作に使っている、20V、1.5Aの可変電源で充電したが、車から外すと、マイコンの状態が初期に戻り面倒です。これを何とかすべく、考察した報告です。    ご質問が多いので、最下段に項目をまとめました。ここをクリックすると最下段に移動します。

考察

充電器を何処にセットするかを考える
ネットで調べると、ボンネットの中に置き、自動充電し、バッテリーをいつでも使える状態に保つ装置がある。これは、農耕機などあまり使わないものに向いている。
自家用車用もあるが、購入するのは、考察すると言う趣旨に反する。しかし、置く場所はボンネットの中と決めよう。
充電時の電流はどの位がよいか
市販の充電器は、定格の10分の1で10時間と言うものが多い。 バッテリーメーカーのWeb頁を見ると、10分の1で12時間という記事もある。 車に積載してあるバッテリーは40B19Rであり、28Aである。
この計算で行くと、2.8Aで10から12時間で満充電となる。100分の1なら、100から120時間になる。
不要になったノートパソコンのACアダプターを使うことにして、どの位の電流になるのか実験して考えることにしよう。これは充電器の発熱と、バッテリーからのガスの排出にも関係するので、重要です。
保護回路と充電中の表示はどうすべきか
ノートパソコンのACアダプターの出力は、16.5V、1.5Aです。 充電電流の制御と保護と表示の目的で、電球を使うことにする。 この方法は、昔、プリント板の検査に使った方法で、電源と基板の間に電球をいれておくと、プリント板の回路が半田槽に入れたままでは、あちこちにブリッジがあり、そのまま通電すると、基板を壊したり、電源を壊したりするので考えた方法です。つまり、通電した時に、電球が全点灯したら、ショートの可能性ありですぐ電源断にして不都合箇所を調べます。通常は少し点灯しているのが正常です。

回路

回路と使用部品
回路はすぐできたが、部品が決まらない。
ACアダプターはすぐに決まったが、PLの電球が決まらない。最初、右図の大きいほうの車用の12V10Wを使って実験した。良い様であるが、電球の固定方法に悩み、結局、小さいほうの懐中電灯用の、4.8V0.5Aのものになった。
ダイオードは部品箱から適当に探したが、大きさから100V2Aくらいのものだろう。
電球を収めるために、100円均一店の自転車用の前照灯のケースを半分に切断して使うことにした。なんて事はない、内蔵の電球と同じだった。

テストです
100円均一店の自転車用の前照灯の前半分を切断して、電球とダイオードを組入れ、 幅広のビニールテープで適当にACアダプターと組み合わせ、データを採ります。 充電中は、左の画像ではよくわかりませんが、電球も点灯しています。
充電中
左図:充電中、  端子電圧13.31V、充電電流0.36A
右図:充電停止、端子電圧13.03V、充電電流0A、時間経過とともに電圧は少し下がります
結果は、初期12.36Vだった電圧が、トータル25時間後に12.66Vに回復、実験完了です。充電電流は、初期:0.41A、最後:0.34Aでした。ACアダプターもほんのり暖かい程度でした。

バッテリーのデータ

バッテリーの比重と電圧の対比
バッテリーの充電量は、通常、比重で表示されています。しかし、テスターで測定したほうが簡便です。対比表を以下に記します。温度20度C。

容量%状態比重開放電圧V
100完全充電1.2812.72
75 若干放電1.2412.48
50 使用限界1.2012.24
25 充電要す1.1612.00
完全放電1.1211.76
計算式は、 (比重+0.84)×6(セル)=12Vバッテリーの解放電圧

そのほかの注意点
  1. 充電時の最初は、電圧が急に上昇し、その後は緩やかに上昇。電圧が14.4Vになるとガスが発生しだし、再び上昇して15~17Vで一定値になる。
  2. セルモーターを回すには、 12.4V以上が必要で、 これ以下でまわすとバッテリーを痛めます。充電してから使いましょう。
  3. エンジンの始動後の電圧は、13.5V~14Vです。13V以下なら発電機もしくはバッテリーの不良です。修理交換しましょう。
  4. 発電機の最大電圧は15Vに設定されています。エンジンの回転数は1500rpm以上にしないと充電しません。アイドリングでは、充電できません。

完成です

ボンネットの中のどこかに引っ掛けるように考察
充電部配線をやり直し、赤黒の太いコードに変更。ワニ口クリップを、車のバッテリー用に変更。ACコードは短めにして、延長ケーブルでつなぐようにする。 ラジエーターの近くに吊り下げるように、取っ手をバンドで固定し、それに配線用のFケーブルを引っ掛け、どこかに留めよう。充電中は、ランプが点灯するので確認も出来安心です。電流が0.4A以下なので、ちんたら、やさしい充電です。
完成です。

使用結果

通常の充電使用状態
家屋外にACコンセントがあり、このコンセントは20時ごろから22時ごろまでONとなります。そのコンセントに、充電器のACプラグがつながっています。 つまり、毎日、2時間くらい通電され充電されます。電球の点灯はいい加減で、時々消灯しています。満充電なのかは不明です。
車載バッテリーの状態
搭載バッテリーは多分、2年または4万kmの保証のものだと記憶しています。 充電しながら、3年半使いました。先日、車検を受けたら、そろそろ取り替えた方がよいのではと指摘され、交換しました。エンジンが起動しにくいなどの状態はありませんでしたが、経過時間を考え、新しい36ヶ月または6万km補償のものに載せ変えました。 エンジンのかかり具合などは変化がありませんが、当分、安心して使えるでしょう。
声に出せば同じですが、保証、補償、メーカーによって記載が違います。

ご質問に関する項目

ご質問で1番困るのは、質問者の経験や知識が不明なので、的確な答えが書けないことです。幼稚園児に解るように説明しても、多分チンプンカンプンで、部品を集める事すら不可能でしょう。この例が1番の悩みです。
ご自分で実験してみたが、なんだかうまく出来ない。どこかおかしい。として、質問される方には、ご返事は的確に可能ですが、もう少し努力をされれば、自力で解決できます。

通常の動作は?
最初は電球が点灯していて、時間経過と共に暗くなるのが正常で、暗くなったら充電完了の時間です。
充電完了まで2時間、もしくは10時間以上を要することもあります。
ACアダプターの電圧が高いのでは?
バッテリーを充電するには、バッテリーより高い電圧が必要です。記事中に記載がある完全充電時には、端子電圧は12.72Vです。これよりわずかに高い電圧では充電は不可能です。差は5V以上必要です。つまり、17Vくらいが適当です。小生が使っているものは、16.5Vなので、充電時間が少し余計に必要です。
パソコン用のACアダプターで、19V2.4A、と15.1V2.6Aが手元にありますが、前者は、電球の電圧が高いものに12V6Wに、後者は変更せずに使えます。後者は充電時間を多く要するだけです。
ダイオードの定格は?
これも質問を受けますが、回路を見れば、電流は最低1Aくらい、電圧は25V以上と見当がつくはずです。
逆接続や、ACアダプターに電源が供給されてないときのACアダプターの保護用です。
電球を使うのは何故?
動作表示と回路の保護に最適だから使っています。定格以上の電流は流れない。
最初に、バッテリーにつないだときに、光って切れたら、接続が間違っています。 もしくは、バッテリーがヘタっていて、電圧差が多い。 この場合は、電球を直列に2個つなげれば、多分解決。もしくは、自動車用の12V6Wくらいのものに変更します。
電球について?
ACアダプターの出力電流と同じ電球を使うのは危険です。定格連続で出力できるほどACアダプターはタフではありません。パソコンで使用時でも最大定格では動作していません。変動しています。
数オームの抵抗器で代用も可能ですが、充電状態を確認するのは面倒です。
白色ダイオードなどで代用が可能かどうかは、実験をしてください。 電流値が20mAで並列で20個で400mA。計算は可能です。電流の規制はどうします。抵抗器、定電流ダイオード、降下電圧はどうなります? 多分、実験は無駄です。つまり代用不可です。